各科目学習のポイント

1.関税法

通関士試験の根幹を成す重要科目です。
どうすれば関税の徴収を正しく確保できるか、どうすれば不正輸出入を防げるか、税関の立場に立って考えると理解しやすくなると思います。

定義
「輸入とは」「輸出とは」「内国貨物とは」「外国貨物とは」。
関税法の全体像を支配する言葉の定義です。
以降の学習内容に絶えず関連する項目ですので、しっかりと理解するようにしましょう。

輸出通関・輸入通関
まずは「申告の原則と例外」「申告の時期の原則と例外」、これをきっちり区別しておぼえましょう。
これに「証明又は確認」「許可がされない場合」「貨物の検査場所」「書類の保存義務」をさらに上乗せするイメージで学習すると覚えやすいかと思います。
尚、輸入通関においてはさらに「原産地証明書」「輸入許可前引取」「原産地偽表示等」の上乗せが必要となります。
この3つはいずれも出題頻度が高いので、細部漏らさず確認しておくようにしましょう。

AEO制度
法令遵守(コンプライアンス)体制が優れている事業者に手続の簡素化というメリットが与えられる制度です。
特定輸出者、特例輸入者、認定通関業者、認定製造者、特定保税承認者、特定保税運送者がこの対象となります。
特に特定輸出申告と特例輸入申告は、輸出通関・輸入通関の問題と混ぜ合わせて毎年必ず出題される必須項目となっていますので、十分な注意が必要です。

保税地域
日本に存在する5種類の保税地域についての規定です。
ほぼ毎年出題されますが、出題される範囲は今のところ限定的です。
ただし今後どこから出題されても不思議ではありませんので、決して安心はできません。
広範囲かつ複雑な項目ですので、「可能な外国貨物の取扱い」「蔵置期間」「許可の要件」「許可の消滅・取消し」という括りを頭におくと、かなりスムーズに学習を進めることができるようになると思います。

保税運送
外国貨物の所在は税関が確実に把握しておく必要があります。
これを誰でも、どこへでも自由に運べるという状態では、関税の徴収がままなりません。
「外国貨物を運ぶ際にはどういった手続をさせるのか」という視点で学習すると判りやすい項目です。

収容
外国から到着した貨物が引き取られもせずずっと置きっ放し・・・。
この状態を放置していたのでは、税関による「関税の徴収」がうやむやになってしまいます。
どれぐらいの期間放置されているのものが強制収容の対象となるのか、この点を意識して学習するようにしましょう。
ここが単独で出題されることは滅多にありませんが、他の項目に関連することが多い項目なので、残念ながら学習せざるを得ません。

輸出してはならない貨物・輸入してはならない貨物
2006年まで輸出入禁制品として規定されていた項目です。
とりわけ知的財産権侵害物品、不正競争防止法違反物品についての規定が詳細に定められていますので、これを重点的に学習するようにしましょう。

課税物件確定の時期・適用法令
課税物件とは外国貨物のことです。
関税額は貨物の金額の何%又は1kgあたり何円、などという具合に課されます。
しかし貨物によっては時間の経過とともに価値が減少したりする(度の強いアルコールなどは蒸発する。)ものもありますので、いつの時点での貨物の数量や重量を関税徴収の対象とするのか詳細に決めておく必要があるというわけです。
又、法令というのは改正がつきものです。
例えば関税率が改正された場合は「昨日までもっと安い関税率だったのに」ということも起こり得ます。
このことから、これについてもいつの時点で施行されている法令が適用されるのか詳細に決めておく必要があるというわけです。
どちらも原則は輸入申告の時(日)とされますが、起こり得る多岐の事例に対応した詳細な例外規定が定められています。
ここはその例外規定を覚えることが主となります。
通関実務の計算問題に絡めて出題されることもありますので、きっちり学習しておきましょう。

納税義務者
要は「誰が輸入貨物の関税を支払うのか」についての規定です。
もちろん原則として関税は貨物の輸入者が支払いますが、全ての外国貨物が通常通り輸入されるものであるとは限りませんので、それらの事例に対応した例外規定が定められています。
ここもその例外規定を覚えることが全てです。

関税額の確定
関税額の確定方式には賦課課税方式と申告納税方式の2つがあります。
大原則として、賦課課税方式が適用される貨物以外については全て申告納税方式が適用されることを念頭に置きましょう。
賦課課税方式については賦課課税方式が適用される貨物の種類を覚えること、申告納税方式についてはそれに紐づく手続である修正申告、更正の請求、更正、決定の内容を理解することが主となります。
ここも通関実務の計算問題に絡めて出題されますので、並行して学習すると良いと思います。

関税の納付・納期限・担保
鬼通関がそうであったように、初心者にとってはかなり理解し辛い項目だと思いますが、「納期限と法廷納期限の違い」、これだけは何があろうと理解しなければなりません。
後の延滞税の計算にも影響する項目ですので、じっくり時間をかけるつもりで取り組みましょう。

付帯税
正しい額の関税を納付しなかった場合に課されるペナルティです。
通関実務の計算問題でも出題されます。延滞税・過少申告加算税・無申告加算税・重加算税の4つについて、その課税要件、税率、計算方法を確実に押さえておきましょう。

徴収権の消滅時効
国が関税を徴収する権利は永遠に続くわけではなく、一定の期間を経過すると消滅します。
つまり徴収権が消滅した対象物については、国は関税を徴収することができなくなるのです。
この場合の一定の期間とはどのぐらいの期間か、又その期間の進行を中断・停止させる要件とは何か、この2点を重点的に学習しましょう。

不服申立て・罰則等
税関長が行った処分について不服がある場合は、税関長又は財務大臣に対して不服を申し立てることができます。
ここはそれほど難しい項目ではありません。
問題は罰則です。
関税法等に違反した場合は懲役や罰金などの罰則が科される場合があります。
ご多分に漏れず法令遵守(コンプライアンス)重要視の潮流から、出題頻度が高まる傾向にあります。
関税法に規定される罰則の条文は、108条の4から118条まで延々と列記されていますので、全てを丸覚えしようとするととてつもない時間を消費することになります。
過去に出題された問題を中心にカバーするようにしましょう。

2.関税定率法

通関士試験最大のヤマ場とも言える超重要項目です。
誰もがここで足止めされます。
決して焦ることなく1つ1つを着実に潰していくつもりで学習を進めていきましょう。

税率
基本税率・暫定税率・特恵税率・協定税率の適用順位、少額貨物の簡易税率、携帯品・別送品の簡易税率、これらをマスターすることに尽きます。
特に難しい項目ではありません。

課税価格決定の原則・課税価格決定の例外
ここが通関士の学習の最重要事項となります。
関税法の科目だけでなく、通関実務の文章問題、計算問題、輸入申告書作成問題にも影響を及ぼしますので、おろそかにすることができません。
押さえるべきポイントは、以下の3点。
①輸入申告価格(課税価格)に算入する費用、算入しない費用、控除する費用は何か?
②輸入申告価格(課税価格)を決定できない要因とは何か?
③輸入申告価格(課税価格)を決定できない場合、どのような方法で決定するのか?
この3点についての詳細かつ多岐に渡る規定を、つぶさに理解していくことがここでの学習内容の全てです。
ここを終えれば通関士の学習は山を越えたといっても過言ではありません。
是非とも頑張りましょう。

特殊関税制度・関税割当制度
特殊関税には便益関税・報復関税・相殺関税・不当廉売関税・緊急関税・対抗関税があります。
主として日本が差別待遇を受けている場合や、日本の産業を守る必要がある場合に発動する関税です。
その発動要件、発動期間、税率をしっかり押さえておきましょう。
関税割当制度は本試験で出題されることは滅多にありません。

減税・免税・戻し税
免税とは関税が0円になること、減税とはいくらか関税が軽減されること、戻し税とは一度支払った関税が払い戻されることです。
定められている規定が非常に広範囲で学習するのも一苦労だと思いますので、参考までに出題傾向を記しておきます。
ただし近年は、長年出題されていなかった箇所が狙われる傾向も垣間見えますので、鵜呑みにはしないようにして下さい。
<特に単独問題として出題される頻度が極端に高いもの>
定率法19条の3 「輸入時と同一状態で再輸出される場合の戻し税」
定率法20条「違約品等の再輸出又は廃棄の場合の戻し税」
<複合問題として出題される頻度が高いもの>
定率法10条「変質損傷等の場合の減免税、戻し税」
定率法11条「加工、修繕のため輸出された貨物の減税」
定率法13条「製造用原料品の減免税」
定率法14条「無条件免税」
定率法15条「特定用途免税」
定率法17条「再輸出免税」

3.関税暫定措置法

学習項目は2項目だけですが、いずれも出題頻度の高いものですので、決して外すことはできません。

暫定法に規定される減免税等
とりわけ暫定法8条「加工又は組立のために輸出された貨物を原材料とした製品の減税」の出題頻度が高くなっています。
減税を受けるための要件、減税額、手続方法をしっかり押さえておきましょう。

特恵関税制度
発展途上国に対し一方的に利益を供与すべく設けられた規定です。
毎年必ず出題されます。
近年では通関実務の文章題でも出題される傾向がありますので要注意です。
ここでの学習内容は「特恵関税の適用を受けるための要件」、これを理解することに尽きます。

4.NACCS法・コンテナー条約等特例法・ATA条約特例法

毎年これら3つのうち、1つは必ず出題されるという傾向にあります。
NACCS法においてはNACCSを使用して行うことが可能な手続の種類と処分や通知の到達時期について、コンテナー条約等特例法においては免税コンテナーの輸出入手続方法と輸入後の取扱について、ATA条約特例法においてはATAカルネの様式とその発給について、重点的に学習するようにしましょう。

5.外為法・輸出貿易管理令・輸入貿易管理令

いわゆる他法令の許可・承認についての規定です。
経済産業大臣の許可・承認を必要とする貨物の種類、必要としない貨物の種類を体系的に覚えることを心掛けましょう。
非常に複雑かつ詳細な規定がなされている項目ですが、ここも毎年必ず出題されています。

6.通関業法

学習範囲が狭く、全ての項目が出題頻度の高いものになっています。
ただし難易度はそれほど高くありませんので、満点獲得を目指しましょう。

通関業法の目的
条文がそのまま出題されるケースが多くなっています。
丸ごと覚えてしまいましょう。

通関業務・関連業務の定義
「通関業務」に含まれる手続、又はこれには含まれず「関連業務」に含まれることとなる手続の種類が、細かく定められています。
何を代理・代行することが「通関手続」となるのか、きっちり区別して覚えましょう。

通関業の許可・許可の消滅・許可の取消し
通関業の経営は税関長による許可制となっています。
通関業の許可を受けようとする場合にはある一定の要件を満たしていなければならず、本試験ではこの要件の内容が詳細に問われます。
さらに通関業の許可は、ある一定の事由に該当した場合に消滅し、又はある一定の事由に該当したことを理由として税関長から許可の取消しという行政処分が下されることがあります。
これらの「一定の事由」とは何か、意識して覚えるようにしましょう。

営業所の新設・営業区域の制限
通関業は税関長による許可制となっていますので、通関業者が新たに支店や営業所を新設する場合には当然税関長より新たに許可を受けなければなりません。
この場合「通関業の許可」が必要か、「営業所の新設の許可」が必要か、この点を意識して学習するようにしましょう。
又通関業者は、原則として営業を行うことができる地域が限定されます。
(現在営業区域撤廃の法改正が検討されていますが、まだ数年先になりそうです。)
ただし例外として営業区域を越えて行うことのできる手続が別途規定されていますので、この手続の種類をしっかり把握するようにしましょう。

通関業者の義務
先述のように通関業は許可制です。
一般的には認められていない事業を許可を受けた上で経営するわけですから、通関業者にはそれ相応の義務が生じることになります。
通関業法の中では最も出題頻度が高い項目ですので、取りこぼしは致命傷となります。
通関業者に課せられる義務の種類1つ1つを漏らさず網羅しておくようにしましょう。

通関業者の権利
先述のように通関業者には厳しい義務が課せられますが、その一方で一定の権利を行使することが認められています。
それほど難しい項目ではありませんので苦労することはないでしょう。

通関士
通関業の許可と同様、通関士となるためにはある一定の要件をクリアしていなければならず、一定の事由に該当した場合には通関士の資格が喪失します。
又、通関士には一定の義務が課せられる点も同様です。
自身の通関士資格に関わる規定ですので、試験対策というよりはむしろ当然知っておくべき事項となります。

監督処分・懲戒処分・罰則・その他
通関業者又は通関士が通関業法、関税法等に違反した場合には、当然それ相応の処分が待っています。
又これに加え、懲役や罰金などの罰則が別途課されるケースもあります。
法令遵守(コンプライアンス)が重要視される現在にあって、この項目は年々出題頻度が高まる傾向にありますので、それぞれの処分事由、処分の種類、罰則自由、罰則の種類をきっちり区別して学習しましょう。

7.通関書類の作成要領とその他通関手続の実務

年を追うごとの難化が叫ばれる科目ですが、課税価格決定の原則・例外の根源的な理念を理解していれば対応が不可能な科目でもありません。

輸出申告書・輸入申告書
問題をどんどん解いて実力をつけていくべき項目です。
答え合わせの時に「なぜその統計品目番号・税表番号になるのか?」「なぜその費用が加算、非加算なのか?」、これらを徹底的に追求するクセをつけましょう。

関税率表の解釈に関する通則
条文の内容は関税法の科目で出題されますが、その運用をこの科目で試されることになります。
問題文に記載されている実例に即して学習して行く方が、理解できるスピードが速くなると思います。

関税率表の所属の決定
どの貨物がどの税表番号に該当するか、実際の実務にほど近い内容が出題されます。
世の中の全ての貨物の税表番号を覚えきることはもちろん不可能ですので、過去問題を徹底的に蹂躙することが学習の中心となります。

事前教示
簡単に言えばわからないことを申告前に税関に尋ねることです。
およそ通関士試験に出題することが必要な項目とは思えませんが、出題されている以上は対策しておかなければなりません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加