通関士の仕事内容

1.通関士の職場

貿易業界と一口に言ってもその職種や業務内容は多種多様です。
まずは通関士が活躍する職場について、具体的に解説致します。

▼国際運送会社
貨物を飛行機や船に積んで外国間での輸送を行っている会社です。
要は日本と外国との間を往来する飛行機を運航する航空会社、又は日本と外国との間を往来する貿易船を運航する船舶会社のことを指します。 
貨物の国際輸送には通関手続という業務が常に付きまとうため、国際運送会社が通関業者を兼業しているケースは非常に多くなっています。
大手の国際運送会社では海外にも多くの拠点を有していることから、現地での貨物輸送の手配から日本国内における貨物輸送の手配までを含めたトータルな物流サービスを提案することが可能となっています。

▼倉庫会社(保税倉庫)
「貨物を保管する倉庫になぜ通関士が必要なんだ」と思う方はきっと多いことでしょう。
その要因は関税法により定められた規定にあります。
基本的に「外国貨物」は税関の監視対象となるわけですが、これをどこでも自由に置かれていたのでは、税関がその所在を把握することはできません。
関税法では、原則として「外国貨物」は税関の目が行き届く保税倉庫(保税地域)に置くととされ、それ以外の場所には置けない決まりになっています。
ここで外国から貨物を輸入する場合を考えて見ましょう。
外国から到着した貨物は「外国貨物」ですので、一旦保税倉庫に搬入されることになります。
搬入された「外国貨物」は、原則として輸入許可を受けない限り保税倉庫から引き取ることはできません。
一方貨物を外国へ輸出する場合は、原則として貨物が保税倉庫へ搬入された後でなければ輸出許可を受けることができません。
なぜなら輸出許可がされた貨物はその時点で「外国貨物」へと変わるため、税関の監視下に収めておく必要性が生じるからです。
この関税法の規定により、保税倉庫にもまた通関手続という業務が常に付きまとうこととなります。
国際運送会社同様、倉庫会社が通関業者を兼業するケースが多い所以です。

▼メーカー・商社等、貿易業務を行っている会社
多くの場合これらの会社は、通関業務に関しては通関業者に依頼する立場となりますので、基本的には「通関士の知識を活かせる職場」となります。
ただし近年では、自社内に通関部門を設置して自社で輸出入申告を行う会社や、別途子会社として通関業者を設立するといった会社が増えてきていますので、従来の「通関業者」という概念に括られないこれらの会社に通関士として就職する、という選択肢も広がってきています。

2.通関士の仕事内容

次に通関士はどういった仕事をするのか、具体的な内容について解説します。

▼通関手続の代理<ほぼ毎日>
税関への申告・申請が必要とされる手続について輸出者・輸入者の代理を行い、それらに対する税関の許可・承認を受けるまでが通関士の仕事となります。
輸出入申告書の作成(書類の作成)、又は輸出入申告行為(オンラインシステムを使用して申告情報を税関に送信)がその大半を占めますが、保税倉庫に貨物を長期蔵置することの承認申請や、関税の修正申告など、通関士の仕事とされる申告・申請の種類は多種多様です。
税関から貨物の検査の通知を受ければ、その検査に立ち会ったりもします。

▼不服申立ての代理
税関長の処分に不服がある者は、不服申立てを行うことができます。
税関長により下される処分が、いつも必ず適正な法解釈に沿った処分であるとは限りません。
どんな処分にも絶対に従わねばならないとなるとそれはただの専制行政となってしまいますので、法律の整合性・実効性保持の観点から、処分された側にも物申す権利が与えられているのです。
不服申立ての具体的な実務内容は、まず税関長に対して「異議申立て」を行うことです。
これを受けて税関長は「異議申立て」に対する新たな処分、「決定処分」を下します。
この「決定処分」にまだ不服がある者は、今度は財務大臣に対して「審査請求」をすることができます。
「審査請求」を受けた財務大臣は、関税等不服審査会という第三者機関の意見を聞いた上で「裁決」という処分を下します。
この「裁決」にまだ不服がある者は、訴訟を起こして裁判へと移行することになります。
この場合の「異議申立て」、「審査請求」について輸出者・輸入者の代理を行うことも通関士の仕事の1つとなります。
当然のことながらそれらに付随する書類の作成(意義申立書、審査請求書の作成)も通関士の仕事に含まれます。

▼主張又は陳述の代行<ほぼ毎日>
通関手続や不服申立てを行った場合に生じる税関との折衝において、輸出者・輸入者を代理して主張や陳述を行うことも通関士の仕事となります。
特に通関士の仕事の大半を占める輸出入申告については、これを行う機会が非常に多くなっています。
主張・陳述というと堅苦しく聞こえてしまいますが、申告書類の内容や貨物内容についての税関からの質問、又は説明の要求、若しくは通関士と税関双方の法解釈の述懐などは、ほぼ日常的に発生していると言っても過言ではないと思います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加